アーク溶接方法
アークスタッド溶接とは、溶接技術の分野において術語として用いられる溶接用語の一つで、アーク溶接の溶接方法に定義される用語の一つです。
アークスタッド溶接は、アークを熱源とする溶接であるアーク溶接の一種で、単にスタッド溶接とも言われますが、主に板状の母材と、ボルトや丸棒などの母材(スタッド)を溶接するための溶接方法のことです。
アークスタッド溶接では、ボルトや丸棒などのスタッド(母材)の先端と、もう一方の板状の母材との間にアークを発生させ、溶融池(溶接中アークなどの熱によってできた溶融金属のたまり)の中に押しつけて溶接を行います。
アークスポット溶接とは、溶接技術の分野において術語として用いられる溶接用語の一つで、アーク溶接の溶接方法に定義される用語の一つです。
アークスポット溶接は、アークを熱源とする溶接であるアーク溶接の一種で、板の母材の片側からアークで加熱して、点状に融着させる溶接方法のことです。
アークスポット溶接には、被覆アークスポット溶接、TIGスポット溶接(ティグスポット溶接)、MIGスポット溶接(ミグスポット溶接)があります。
イナートガスアーク溶接とは、溶接技術の分野において術語として用いられる溶接用語の一つで、アーク溶接の溶接方法に定義される用語の一つです。
イナートガスアーク溶接は、アーク溶接(アークを熱源とする溶接)の一種で、シールドガス(溶接中にアークと溶融金属とを覆い、空気が溶接雰囲気内に侵入することを防ぐために用いるガス)として、Ar(アルゴン)、He(ヘリウム) 若しくはその混合物のイナートガス又はこれらに少量の活性ガスを添加したものを用いる溶接方法です。
イナートガスシールドフラックス入りワイヤメタルアーク溶接とは、溶接技術の分野において術語として用いられる溶接用語の一つで、アーク溶接の溶接方法に定義される用語の一つです。
イナートガスシールドフラックス入りワイヤメタルアーク溶接は、アークを熱源とする溶接であるアーク溶接に分類されるメタルアーク溶接(消耗電極を利用するアーク溶接)の一種です。
イナートガスシールドフラックス入りワイヤメタルアーク溶接では、消耗電極(溶極ともいい、各種アーク溶接及びアーク切断において、アーク中で溶融する電極)として、消耗フラックス入りワイヤを使用し、またシールドガスにはイナートガス(不活性ガス)を用います。
エレクトロガスアーク溶接とは、溶接技術の分野において術語として用いられる溶接用語の一つで、アーク溶接の溶接方法に定義される用語の一つです。
エレクトロガスアーク溶接は、アークを熱源とする溶接であるアーク溶接に分類される溶接方法の一種です。
エレクトロガスアーク溶接は、母材端と銅当て金や耐火性裏当て材などで溶融池を囲み、溶融金属の垂れ落ちを防止しつつ立向上進溶接をする溶接方法であり、ガスシールドアーク溶接(CO2、Ar などのガスによって、アーク及び溶着金属を大気から遮へいしながら行うアーク溶接の総称)の一種です。
エレクトロガスアーク溶接におけるシールドガスにはCO2(炭酸ガス)などが用いられ、また、溶接ワイヤにはソリッドワイヤやフラックス入りワイヤが用いられます。
ガスシールドアーク溶接とは、溶接技術の分野において術語として用いられる溶接用語の一つで、アーク溶接の溶接方法に定義される用語の一つです。
ガスシールドアーク溶接は、アーク溶接(アークを熱源とする溶接)の一種で、アルゴン(Ar)や炭酸ガス(CO2)などのシールドガスによってアークと溶着金属(溶加材から溶接部に移行した金属)を大気からシールド(遮蔽)しながら行う溶接方法の総称です。
アークや溶着金属を大気から遮へいするためのシールドガスには、アルゴン(Ar)やヘリウム(He)などの不活性ガス、或いは、炭酸ガスやアルゴンと炭酸ガスの混合ガスなどの活性ガスが用いられます。
グラビティ溶接とは、溶接技術の分野において術語として用いられる溶接用語の一つで、アーク溶接の溶接方法に定義される用語の一つです。
グラビティ溶接は、重力式溶接とも言われ、被覆アーク溶接(被覆アーク溶接棒を用いて行う溶接)の一種です。
グラビティ溶接では、被覆アーク溶接棒の消耗に伴い、ホルダが傾斜したスライドバーを自重によって下降し、溶接棒と母材が一定の角度を保って溶接線上を移動して溶接を行うため、溶接作業者一人で複数台の溶接機を扱うことが可能です。
サブマージアーク溶接とは、溶接技術の分野において術語として用いられる溶接用語の一つで、アーク溶接の溶接方法に定義される用語の一つです。
サブマージアーク溶接は、アーク溶接(アークを熱源とする溶接)の一種であり、自動アーク溶接(溶接ワイヤの送りが自動的にでき、連続的に溶接が進行する装置を用いて行うアーク溶接)に用いられる溶接です。
サブマージアーク溶接は、溶接線上にあらかじめ粒状のフラックスを散布しておいて、その中に溶接ワイヤを自動的に送込み、フラックス中において溶接ワイヤと母材との間のアークから生じるアーク熱で溶接する方法です。
セルフシールドアーク溶接とは、溶接技術の分野において術語として用いられる溶接用語の一つで、アーク溶接の溶接方法に定義される用語の一つです。
セルフシールドアーク溶接は、アーク溶接(アークを熱源とする溶接)の一種であり、ティグ溶接(TIG溶接)やミグ溶接、マグ溶接などに代表されるガスシールドアーク溶接とは異なり、アークや溶着金属を大気から遮へいするためのシールドガスを外部から供給しないで行うアーク溶接のことです。
セルフシールドアーク溶接は、外部からシールドガスを供給しないかわりに、フラックス入りワイヤを用います。フラックス入りワイヤとは、管状になっていて、金属外皮の内部にアーク安定剤、脱酸剤、スラグ形成剤、金属粉末などが充てんされている溶接ワイヤです。
ティグ溶接(TIG溶接)とは、溶接技術の分野において術語として用いられる溶接用語の一つで、アーク溶接の溶接方法に定義される用語の一つです。
ティグ溶接(TIG溶接)は、アーク溶接(アークを熱源とする溶接)に分類される溶接で、イナートガスアーク溶接の一種です。
ティグ溶接(TIG溶接)は、シールドガスとしてAr(アルゴン)やHe(ヘリウム)などのイナートガス(不活性ガス)を用い、電極にはタングステン或いはタングステン合金を用いることから、ティグ溶接:TIG溶接(Tungsten Inert Gas welding)と呼ばれます。
ティグ溶接(TIG溶接)は、プラズマ溶接などと同じように、溶接材料に溶加棒を用い、電極(一般にタングステン電極)が溶接材料とはならない非溶極式(非消耗電極式)のガスシールドアーク溶接です。
パルスアーク溶接とは、溶接技術の分野において術語として用いられる溶接用語の一つで、アーク溶接の溶接方法に定義される用語の一つです。
パルスアーク溶接は、アークを熱源とする溶接であるアーク溶接の一種です。
パルスアーク溶接では、一般的に供給される溶接ワイヤの供給速度に応じて、電流の強さ(大きさ)を周期的に増減させ、電流波形をパルス状にして溶接を行います。
プラズマミグ溶接とは、溶接技術の分野において術語として用いられる溶接用語の一つで、アーク溶接の溶接方法に定義される用語の一つです。
プラズマミグ溶接は、アークを熱源とする溶接であるアーク溶接のうち、プラズマアーク(機械的・電気的に収束されたプラズマ柱をもつアークで、高密度の熱を発生させるために使用するアーク)を熱源する溶接であるプラズマ溶接の一種です。
プラズマミグ溶接は、ガスシールドアーク溶接の一種ですが、シールドガスには、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)又はこれらの混合ガス(Ar-He)などのイナートガス(不活性ガス)を用い、電極が溶接材料となる溶極式(消耗電極式)のプラズマアーク溶接です。
プラズマ溶接とは、溶接技術の分野において術語として用いられる溶接用語の一つで、アーク溶接の溶接方法に定義される用語の一つです。
プラズマ溶接は、アークを熱源とする溶接であるアーク溶接のうち、プラズマアーク(機械的・電気的に収束されたプラズマ柱をもつアークで、高密度の熱を発生させるために使用するアーク)を熱源として行う溶接のことです。
プラズマ溶接には、プラズマアーク溶接とプラズマジェット溶接とがあります。
プラズマアーク溶接は、電極と母材との間に発生させるトランスファアークを利用して行うプラズマ溶接です。
プラズマジェット溶接は、電極とトーチ内のノズルとの間に発生させるノントランスファアークによって高温かつ高速の気流を発生させて、その熱で行うプラズマ溶接です。
マグ溶接とは、溶接技術の分野において術語として用いられる溶接用語の一つで、アーク溶接の溶接方法に定義される用語の一つです。
マグ溶接は、アーク溶接(アークを熱源とする溶接)の中でも、CO2(炭酸ガス)、Ar(アルゴン) などのガスによって、アーク及び溶着金属を大気から遮へいしながら行うアーク溶接の総称であるガスシールドアーク溶接の一種です。
マグ溶接における主なシールドガスは、CO2(炭酸ガス)と、Ar-Co2(アルゴン−炭酸ガス)の混合ガスです。そのため、溶接雰囲気が酸化性ガスを含むことから、マグ溶接 : MAG(Metal Active Gas)と呼ばれます。
マグ溶接は、溶接材料(ワイヤ)が電極となる溶極式(消耗電極式)のガスシールドアーク溶接です。
ミグ溶接とは、溶接技術の分野において術語として用いられる溶接用語の一つで、アーク溶接の溶接方法に定義される用語の一つです。
ミグ溶接は、アーク溶接(アークを熱源とする溶接)に分類される溶接で、イナートガスアーク溶接の一種です。
ミグ溶接は、シールドガスとしてイナートガス(不活性ガス)を用い、電極には溶接ワイヤ(溶接に使用されるコイル状の長いソリッドワイヤ及びフラックス入りワイヤの総称)を用いることから、ミグ溶接:MIG溶接(Metal Inert Gas welding)と呼ばれます。
メタルアーク溶接とは、溶接技術の分野において術語として用いられる溶接用語の一つで、アーク溶接の溶接方法に定義される用語の一つです。
メタルアーク溶接は、アークを熱源とする溶接であるアーク溶接の一種です。
メタルアーク溶接では、消耗電極(溶極ともいい、各種アーク溶接及びアーク切断において、アーク中で溶融する電極)使用します。
低角度溶接とは、溶接技術の分野において術語として用いられる溶接用語の一つで、アーク溶接の溶接方法に定義される用語の一つです。
低角度溶接は、被覆アーク溶接(被覆アーク溶接棒を用いて行う溶接)における溶接方法の一種です。
低角度溶接では、被覆アーク溶接棒をバネなどの力を使って溶接線に対して低角度に保持しながら、被覆アーク溶接棒の先端を接触させて溶接を行います。
半自動アーク溶接とは、溶接技術の分野において術語として用いられる溶接用語の一つで、アークを熱源とするアーク溶接の一種です。半自動アーク溶接は、単に半自動溶接とも言われますが、溶接ワイヤの送りが定速自動供給される装置を用いて、溶接トーチの移動を手動で行うアーク溶接の総称です。
半自動アーク溶接は、被覆アーク溶接棒を用いて行う被覆アーク溶接と比較すると溶着速度が速いので、一般に能率の高い溶接が可能です。
ガスシールドアーク溶接法(炭酸ガスアーク溶接、マグ溶接、ミグ溶接などガスによってアークと溶着金属を大気から遮へいして行うアーク溶接)が、半自動溶接としてよく用いられます。
半自動アーク溶接に用いられる溶接ワイヤには、ソリッドワイヤとフラックス入りのワイヤとがあります。
帯状電極肉盛溶接とは、溶接技術の分野において術語として用いられる溶接用語の一つで、アーク溶接の溶接方法に定義される用語の一つです。
帯状電極肉盛溶接は、帯状電極を用いて、サブマージアーク溶接(フラックス中において、溶接ワイヤと母材との間のアークから生じるアーク熱で溶接する方法)で所要組成の帯状材料を電極とする肉盛溶接です。
横置(よこおき)式溶接とは、溶接技術の分野において術語として用いられる溶接用語の一つで、アーク溶接の溶接方法に定義される用語の一つです。
横置式溶接は、被覆アーク溶接(被覆アーク溶接棒を用いて行う溶接)における溶接方法の一種です。
横置式溶接は、被覆アーク溶接棒を溶接を行う母材の開先(グルーブともいい、溶接する母材間に設ける溝)に密着させておいて、アークの進行によって自動的に行う溶接方法です。
活性ガスシールドフラックス入りワイヤメタルアーク溶接とは、溶接技術の分野において術語として用いられる溶接用語の一つで、アーク溶接の溶接方法に定義される用語の一つです。
活性ガスシールドフラックス入りワイヤメタルアーク溶接は、アークを熱源とする溶接であるアーク溶接に分類されるメタルアーク溶接(消耗電極を利用するアーク溶接)の一種です。
活性ガスシールドフラックス入りワイヤメタルアーク溶接では、消耗電極(溶極ともいい、各種アーク溶接及びアーク切断において、アーク中で溶融する電極)として、消耗フラックス入りワイヤを使用し、またシールドガスには活性ガスを用います。
混合ガス(Ar-CO2)アーク溶接とは、溶接技術の分野において術語として用いられる溶接用語の一つで、アーク溶接の溶接方法に定義される用語の一つです。
混合ガス(Ar-CO2)アーク溶接は、マグ溶接(CO2、Ar と CO2 との混合ガスなど、酸化性のシールドガスを用い、溶接ワイヤを電極とするアーク溶接の総称)のうち、炭酸ガスアーク溶接(炭酸ガス(CO2)をシールドガスとして用い、溶接ワイヤを電極とする自動又は半自動アーク溶接)を除いたアーク溶接(アークを熱源とする溶接)の総称です。
炭酸ガスアーク溶接とは、溶接技術の分野において術語として用いられる溶接用語の一つで、アーク溶接の溶接方法に定義される用語の一つです。
炭酸ガスアーク溶接は、アーク溶接(アークを熱源とする溶接)の中でも、CO2(炭酸ガス)、Ar(アルゴン) などのガスによって、アーク及び溶着金属を大気から遮へいしながら行うアーク溶接の総称であるガスシールドアーク溶接の一種です。
炭酸ガスアーク溶接は、シールドガスにCO2(炭酸ガス)を用いるガスシールドアーク溶接で、マグ溶接やミグ溶接と同じく、溶接材料(ワイヤ)が電極となる溶極式(消耗電極式)のガスシールドアーク溶接です。
炭酸ガスアーク溶接は、一般的に自動アーク溶接、或いは半自動アーク溶接として用いられます。
自動アーク溶接とは、溶接技術の分野において術語として用いられる溶接用語の一つで、アーク溶接の溶接方法に定義される用語の一つです。
自動アーク溶接は、アーク溶接(アークを熱源とする溶接)の一種で、溶接ワイヤ(ソリッドワイヤやフラックス入りワイヤなど、コイル状の溶接に使用されるワイヤ)の送りが定速自動供給されて連続的な溶接が可能な装置を用いて行うアーク溶接です。
被覆アーク溶接とは、溶接技術の分野において術語として用いられる溶接用語の一つで、アーク溶接の溶接方法に定義される用語の一つです。
被覆アーク溶接は、被覆アーク溶接棒(フラックスを施してあり、アーク溶接の電極として用いる溶接棒)を使って行う溶接のことです。
被覆アーク溶接は、手溶接(溶接操作を手で行う溶接)ともいわれ、炭素鋼や合金鋼などの鉄鋼材料から銅合金などの非鉄金属材料の溶接まで幅広く利用でき、また、大掛かりな装置が不要で簡便であり、適用範囲も広い溶接方法です。