溶接後熱処理
溶接後熱処理とは、溶接技術の分野において術語として用いられる溶接用語で、アーク溶接の溶接現象に定義される用語の一つです。
溶接後熱処理は、溶接部(溶接金属及び熱影響部を含んだ部分の総称)や溶接構造物に行う熱処理の一種で、『 Post Weld Heat Treatment 』の頭文字から、『PWHT』とも言われる熱処理です。
また、溶接後熱処理(PWHT)は、通常、応力除去焼なましとも呼ばれ、溶接残留応力(構造物又は部材に残留している応力)の緩和を主な目的とする熱処理です。
溶接後熱処理(PWHT、又は応力除去焼なまし)は、残留応力緩和のほか、溶接熱影響部の軟化、溶接部の延性及び切り欠きじん性(広義の意味では切り欠き試験片の破壊に対する抵抗特性)の向上、水素の除去などの効果があります。
そのため、応力腐食割れ(SCCとも言われ、鋼が腐食環境などの特殊な環境の中で降伏点に近い引張応力を受けるときに割れを生じて、それが鋼中に進展していく現象)や遅れ割れ(低温割れの一種で、主に水素が原因で発生する割れ)などにも有効な熱処理です。
JIS規格 溶接用語(JIS Z 3001)における、溶接後熱処理の定義は以下です。
分類:アーク溶接 ≫ 溶接現象番号:2657
用語:溶接後熱処理
定義:
溶接後、溶接部又は溶接構造物に行う熱処理。応力除去熱処理は、この代表的なものである。対応英語(参考):
post weld heat treatmentISO番号(参考):−